インフレと投資

1.はじめに

 年末から2月にかけて10冊ほどお金に関する本を読みました。
 「お金の増やし方に関するベストセラー100冊」の記事で紹介された中から、興味をひいた本を選びました。有名なバフェット氏の師匠ベンジャミン・グレミアムが書いた「賢明なる投資家」や、「お金と時間の法則」等、読みごたえがありました。
 今回はインフレ時代における投資のあり方について述べてみます。

2.労働と投資は補完関係?

 多くの人は労働の対価としてお金を得ています。知見や技能の向上で労働の価値は増加していきますが、老いとともに働けなくなります。つまり、労働は時間の経過とともに減ってい縮む運命にあるといえます。
 一方、投資は労働の価値とは違い、自分の代わりにお金を生む手段と言えるので、労働と投資は補完関係にあるといえます。現役の時は昼も夜もお金は自分の代わりに働いてくれますし、退職後は自分が働かなくてもお金を生み出し続けてくれるパートナーです。貨幣価値が下がるインフレ時代に投資の重要性が増すのはこのためです。

3.インフレは目に見えない税金?

 皆さん、インフレが毎年2%続くと、36年でお金の価値が半減することをご存知でしたか?36年間で政府の債務が半減したことを意味します。それは国民のサイフからインフレによる目減り分を債務の返済にあてた結果であるといえます。年々の生活費や子供の教育費が増え続け、費用の上昇に見合う程度まで給与が増えなければ、生活者を脅かすことになります。特に困るのは年金生活者です。インフレの影響は短期的には小さいが長期的には大きいので、リタイアが近い人は特に留意しましょう。

4.リスクを最小限に抑えるヒント

(1)自分は貯金すべきか投資すべきか?
 20代、30代で投資すべきおカネ(頭金)が貯まっていない人は、無理のない範囲で貯金することをお勧めします。お金の人生設計で大切なことは、期間の長さ(時間軸)であることを覚えておきましょう。
 貯金の達人は、支出の際にもらった領収書・明細書を袋に入れ、定期的に自分が何に支出しているかを把握し、さらに部屋を片付けてムダなものを買っていないかをチェックしています。
(2)老後の4%ルールをご存知ですか?
 年間支出=4%×老後資金
 これでリタイア後の老後資金がいくら必要かが算出できます。年間の生活費が500万円で、100万円の年金支給がある人なら、400万円×25年=1億円の老後資金が必要であることがわかり、かつ退職可能な時期も判明します。
 ただし、1億円あっても幸せになれるかどうかは不明です。お金以外の心身の健康と良好な人間関係が大切であることを忘れないようにしましょう。
(3)個別株式に手を出さない。
 短期で成果を上げるプロ投資家は全体の1割未満と言われています。プロでも、1926年から2016年にかけて米国国債を上回るリターンを出した株式はわずか4%だったそうです。素人がこの4%を選び、残りの96%の銘柄を避けるのは至難の業と言えます。特に今は業績相場ではなく、海外投資家によるバブリーの様相を呈していますので注意しましょう。
(4)神様でさえドルコスト平均法には勝てないと言われています。
 短期運用よりも、10年、20年、30年の長期運用がリスクをより軽減してくれます。
 アインシュタインも複利運用を「人類最大の発明、知っている人は複利で稼ぎ、知らない人は利息を払う」と言っています。
 また、毎月配当金を支払う分配型の金融商品に手をつけてはなりません。
(5)一つの籠に卵を入れるな、という有名な格言があります。
 集中よりも分散、複利効果を考慮して長期投資を考えるなら、投資信託の活用が一般的です。ただし、留意点は以下のとおりです。
①手数料が高いアクティブファンドは避ける
②設定して20年以上の運用実績のあるもので、資金の残高と流入と流出をチェックする。2008年に発生したリーマンショック以後の運用実績はあてにならない。
(6)持ち家か賃貸か?
 デフレ時代には賃貸を選ぶ若年層が多くいましたが、インフレが続くとなると賃貸が有利とは言えなくなりました。インフレ時代には、経済的に余裕があり、その地に長く暮らす予定の人は自宅を購入しても良いかもしれません。賃貸の場合、将来の家賃等の値上がりが予測できません。持ち家の方が購入費用・ローン等の人生設計がやりやすいからです。

5.むすびにかえて

 今年に入り新NISA制度がスタートしたので、銀行や証券会社の営業攻勢が活発になっています。NISAの口座開設はしておいて構いませんが、商品の購入はしばらく待つことをお勧めします。今は買い時ではなく売り時です。「売り時です」とアドバイスしてくれる営業マンは信用できます。
 人生100年時代に入り、何歳で辞めるのか、引退するまでにどれくらいの資産を保有しておくのかを計画することをお勧めします。ポイントは逆算です。ゴールを決めて逆算すれば、いつ何をどうすべきか、どう生きればよいかが見えてくるからです。備えあれば憂いなしです。