岸田さんは税収増の還元策として本人と扶養家族に対し所得税3万円と住民税1万円の定額減税を本年6月から1年間実施することを決定しました。さらに、住民税非課税世帯に対しては、1世帯7万円を給付することにしました。今回は、これと日本が抱える問題について考えてみたいと思います。
納税額5万円の人は4万円の定額減税により納税1万円となり、減税の効果を感じると思います。一方、納税額50万円の人は、4万円減るだけですので効果を感じにくい。つまり、低所得者の方が減税効果が大きくなる方法です。一方、これが10%の定率減税なら、前者が5,000円、後者が5万円の減税になるので、富裕層ほど減税効果を大きく感じるでしょう。今回は物価高で生活が厳しくなっている者への支援が目的ですので、定額減税で実施されました。 次に、住民税非課税世帯に対する一世帯当たり7万円を給付は、今回の主旨が「税収が多かったので納付した人に返す」であったので、税金を支払っていない人に対して給付するのはどうかと思います。日頃から日本の納税者はお上から言われた通り税金を払ってきましたが、納税した分に値する公共サービスを受けていないと感じているからです。今自民党の政治資金問題がマスコミを騒がせていますが、私は納税者を守る政党や政治家が存在しないのが問題であると考えています。
毎年12月になると年末調整が行われます。欧米では自分で確定申告する人が大多数なので納税に対する意識が高くなっています。一方、日本では給与から所得税・住民税を差引かれるので納税者意識が希薄で税金が何に使われているかの関心が薄くなり、それが選挙に関心を持たない層の増加につながっています。私は源泉徴収制度こそ諸悪の根源ではないかと思います。インターネットがここまで普及した今こそ、各自が収入から経費を差し引いて算出された所得に税率をかけて自分の納税額を算出し、納得して納税する方向に変えるべきです。これにより年末の多忙の時に年末調整を押し付けられている企業と我々会計事務所の担当者は解放されます。納税者は自分の納付すべき税金の計算を通して政治への関心が深まるからです。 日本では「税金を払う」という人は少なく、「税金をとられる」と言います。他方、欧米では税金とは、その国や地域に支払う会費であり、会費が何に使われたのかを注視しています。故に脱税をした人は会費をごまかした人なので皆から糾弾され、場合によってはそのコミュニティから追放されました。 私の経験から言えるのは、会計が不明瞭なところはやがて不正が横行しやすいことです。統一教会等の宗教法人や政治資金団体等が然りです。共通点は納税義務がなく、第三者の監視もないので、不正の温床となりがちです。
2023年度の税収は約69.4兆円で、1位が消費税の23.8兆円、2位が所得税の22.5兆円、3位が法人税の14.9兆円、これら主要3税で88%を占めています。主要国の税収と比較してみたのが次の表です。
アメリカは所得税が税収の大部分を占めており、逆にヨーロッパ諸国は日本よりも付加価値税の割合が高いことがわかります。中でも、個人所得税の課税最低限の国際比較をすると、夫婦・子2人の家庭では日本384万円、アメリカ245万円、イギリス113万円と、課税最低限が高止まりし、所得税を納税していない人が多くなり、住民税非課税世帯も多くなります。私は、日本が元気になる中核をなすのは、世帯年収700万円以上の中流階層を増やすことだと考えています。今の税制はむしろ彼ら中流階層から税金・年金・社会保険料を徴収し、働いていない人へのバラマキに使われていますし、結果として少子化対策もことごとく失敗しています。彼らの可処分所得を増やし、経済的負担を軽減するのに、大学までの学費無償化を提言します。選挙目当てのバラマキよりも、誰もが高等教育を受けられる教育投資が明日の日本を作る力になると確申します。
日本の税金・年金・社会保険料の中味は難しくてよくわからない人が多いと思います。私の経験から、よくわからないものにはゴマカシが多いので注意しましょう。明瞭で簡単なものが消費税です。消費税は景気の変動をあまり受けない税目なので、いちばん安定した税金と言えます。高福祉・高負担で有名な北欧三国の税率は25%です。日本の消費税率も今は10%ですが、やがて15%、20%へと上がると予想されます。消費税率が20%位になれば、ネット上で物々交換が行われるかもしれませんが、受益者負担の原則で公平に負担し、公平にサービスを受ける税制と社会政策の実施が望まれます。
1.はじめに
岸田さんは税収増の還元策として本人と扶養家族に対し所得税3万円と住民税1万円の定額減税を本年6月から1年間実施することを決定しました。さらに、住民税非課税世帯に対しては、1世帯7万円を給付することにしました。今回は、これと日本が抱える問題について考えてみたいと思います。
2.定額と定率
納税額5万円の人は4万円の定額減税により納税1万円となり、減税の効果を感じると思います。一方、納税額50万円の人は、4万円減るだけですので効果を感じにくい。つまり、低所得者の方が減税効果が大きくなる方法です。一方、これが10%の定率減税なら、前者が5,000円、後者が5万円の減税になるので、富裕層ほど減税効果を大きく感じるでしょう。今回は物価高で生活が厳しくなっている者への支援が目的ですので、定額減税で実施されました。
次に、住民税非課税世帯に対する一世帯当たり7万円を給付は、今回の主旨が「税収が多かったので納付した人に返す」であったので、税金を支払っていない人に対して給付するのはどうかと思います。日頃から日本の納税者はお上から言われた通り税金を払ってきましたが、納税した分に値する公共サービスを受けていないと感じているからです。今自民党の政治資金問題がマスコミを騒がせていますが、私は納税者を守る政党や政治家が存在しないのが問題であると考えています。
3.諸悪の根源は?
毎年12月になると年末調整が行われます。欧米では自分で確定申告する人が大多数なので納税に対する意識が高くなっています。一方、日本では給与から所得税・住民税を差引かれるので納税者意識が希薄で税金が何に使われているかの関心が薄くなり、それが選挙に関心を持たない層の増加につながっています。私は源泉徴収制度こそ諸悪の根源ではないかと思います。インターネットがここまで普及した今こそ、各自が収入から経費を差し引いて算出された所得に税率をかけて自分の納税額を算出し、納得して納税する方向に変えるべきです。これにより年末の多忙の時に年末調整を押し付けられている企業と我々会計事務所の担当者は解放されます。納税者は自分の納付すべき税金の計算を通して政治への関心が深まるからです。
日本では「税金を払う」という人は少なく、「税金をとられる」と言います。他方、欧米では税金とは、その国や地域に支払う会費であり、会費が何に使われたのかを注視しています。故に脱税をした人は会費をごまかした人なので皆から糾弾され、場合によってはそのコミュニティから追放されました。
私の経験から言えるのは、会計が不明瞭なところはやがて不正が横行しやすいことです。統一教会等の宗教法人や政治資金団体等が然りです。共通点は納税義務がなく、第三者の監視もないので、不正の温床となりがちです。
4.税制への提言
2023年度の税収は約69.4兆円で、1位が消費税の23.8兆円、2位が所得税の22.5兆円、3位が法人税の14.9兆円、これら主要3税で88%を占めています。主要国の税収と比較してみたのが次の表です。
アメリカは所得税が税収の大部分を占めており、逆にヨーロッパ諸国は日本よりも付加価値税の割合が高いことがわかります。中でも、個人所得税の課税最低限の国際比較をすると、夫婦・子2人の家庭では日本384万円、アメリカ245万円、イギリス113万円と、課税最低限が高止まりし、所得税を納税していない人が多くなり、住民税非課税世帯も多くなります。私は、日本が元気になる中核をなすのは、世帯年収700万円以上の中流階層を増やすことだと考えています。今の税制はむしろ彼ら中流階層から税金・年金・社会保険料を徴収し、働いていない人へのバラマキに使われていますし、結果として少子化対策もことごとく失敗しています。彼らの可処分所得を増やし、経済的負担を軽減するのに、大学までの学費無償化を提言します。選挙目当てのバラマキよりも、誰もが高等教育を受けられる教育投資が明日の日本を作る力になると確申します。
5.むすびにかえて
日本の税金・年金・社会保険料の中味は難しくてよくわからない人が多いと思います。私の経験から、よくわからないものにはゴマカシが多いので注意しましょう。明瞭で簡単なものが消費税です。消費税は景気の変動をあまり受けない税目なので、いちばん安定した税金と言えます。高福祉・高負担で有名な北欧三国の税率は25%です。日本の消費税率も今は10%ですが、やがて15%、20%へと上がると予想されます。消費税率が20%位になれば、ネット上で物々交換が行われるかもしれませんが、受益者負担の原則で公平に負担し、公平にサービスを受ける税制と社会政策の実施が望まれます。