新NISA制度の有効活用(1)

1.はじめに

 新NISAの概要は既に月刊参謀の紙面で説明していますが、旧NISAはどうなるのか、今年中に準備しておくべきことは何かを解説します。

2.新NISAの中身

  • (1)生涯非課税限度額が最高1800万円に拡大
     これは国から非課税の金庫のプレゼントを受けることを意味します。
  • (2)売却益や配当金が非課税
     300万円で購入した株式を500万円で売却した場合、売却益200万円に対して20.315%、約41万円が税金として課税されますが、このNISA金庫の株や投資信託は、いくら売却益や配当金を受け取っても非課税になります。
     また、1800万円の上限は簿価残高方式で管理されるので購入した時の価格が基準となります。時価が1800万円を超えていても上限は変わりません。むろん、出し入れは個人の自由です。引き出すと枠の上限が復活します。
  • (3)年間投資上限額が最大360万円に拡大
     新NISAの年間投資上限額はつみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円と、現行NISAの40万円と120万円から大幅にアップしました。月額に換算すると、つみたて投資枠は33,333円から10万円の3倍になり、枠の大きさが実感できます。つみたて投資は原則売買せずに長く持っておく資産、つまり守りの資産で、長期の分散投資です。
     成長投資は比較的リスキーな商品が多いので、投資の初心者は比較的安全とされている銘柄を取り扱うNISAつみたて投資枠の活用がお勧めです。成長投資枠に1200万円の上限を設けたのは、国民がハイリスク投資でダメージを受けない配慮があったと推測されます。投資経験の少ない初心者でも株の話をしている今は、株価が天井に近く素人が手を出すとやけどをしますので注意しましょう。

3.現行NISAと今から準備しておくこと

 結論として、現行NISAは別枠で管理されます。現行の一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間非課税で売却可能です。今年のつみたて40万、ジュニアNISA 80万円の非課税枠を合わせると、累計で最大1920万円分非課税になります。特に、子供向けのジュニアNISAは来年から使えなくなるので非課税枠を使い切りましょう。子供が3人いれば240万円の枠が使えます。子供が18歳になるまで非課税ですので、一番末の子供から口座を作れば有利です。
 ところで、将来NISA口座の変更をする際はかなり面倒なことになると聞いていますので、どの金融機関に口座を開くかを慎重に選びましょう。将来のことは誰もわからないので今年中に枠を確保しておくことが大切です。夫婦だと2人分になり、政府が発表して話題となった必要老後資金2000万円をはるかに超えます。